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スペシャル

SPECIAL

宮城県大崎市渡り鳥のパラダイス蕪栗沼

2014.06.13

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蕪栗沼ぬまっこくらぶ提供

雁行、落雁、雁首と日本には雁に由来する言葉がとても多い。それほどまでに、かつての日本では、雁は身近な冬の風物だったのだろう。雁とは、カモ目カモ科に属し、ハクチョウやカモに近い種の総称。ハクチョウ程ではないが、カモよりもずっと大きい。現在も群れで渡来する、マガン、オオヒシクイなどは狩猟圧と湿地破壊のため、一時絶滅の危機に瀕した。その後天然記念物指定などにより保護されてから羽数は回復してきたが、その生息地は限られ、北日本の蕪栗沼などが最後の砦となっている。

思えば、夕暮れに雁たちが編隊を組んでねぐらに帰る姿なんてもう何年も見たことがない。ところが、日本に飛来する雁たちの越冬地である宮城県大崎市蕪栗沼を訪れてびっくり!なにしろ雁、雁、雁、雁だらけ。いったい何千羽、いや何万羽いるのだろう。夕方のねぐら入りを見ようと沼で待つわたしたちの頭上は、次々と編隊を組んで帰ってくる雁でいっぱい。沼の上空に来ると、一気に高度を下げ、くるくると体をひねりながら急降下する姿は、次々と舞い落ちる木の葉のよう。「落雁」という言葉の由来に思いっきり納得だ。いや、その美しいこと…翌日の早朝も、朝の飛び立ちを見ようと吹雪の中、今か今かと待ち、何万羽という雁が一斉に飛び立つさまを見た時の感動は忘れられない。

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蕪栗沼ぬまっこくらぶ提供

蕪栗沼は、マガンなどガン類含めて220種類以上の鳥類が確認されている。鳥がそれほどまでに多いということは、エサも豊富なわけで、メダカやゼニタナゴなど絶滅危惧種が127種も存在しており、現在ラムサール条約に指定されている。ラムサール条約は、かつて「釧路湿原」が指定されたことで耳にした人も多いと思うが、地球規模で「湿地」を守るための国際条約だ。実はこの「湿地」の概念はとても広い。水深6m以下の浅い海や干潟も含まれるし、水田も含まれる。日本の水田総面積は、約300万ヘクタールで、実は日本最大の湿地は水田。

でも水田は、刈取りが終わると水が抜かれ乾燥してしまう。この水を抜かない冬季湛水のたんぼを増やし、雁たちと共生しようと「NPOたんぼ」などによる「ふゆみずたんぼ」という取組みが行われている。伊豆沼や蕪栗沼がある宮城県仙北地域には、100年前には大小あわせて40もの湖沼があったそうだ。そのうちの31は、完全干拓され姿を消した今、冬も水を湛え、エサになる生き物がたくさんいるたんぼは、雁たちにとって消滅した沼に代わる大切な生息地になっている。

どじょうやカエル、様々な水生昆虫がいるようなたんぼは、もちろん無農薬。人間にとってもいい。「ふゆみずたんぼ」にすると、稲の切り株やワラなど有機物が分解し、微生物や藻が発生して施肥効果もバツグン。また、イトミミズ達が、泥の上に糞をしてくれて菌と混ざり合い、1年に10㎝ものきめ細かくなめらかな新たな泥の層ができる。顔に塗るとお肌によさそうなぐらいトロトロな手触りだ。この泥のおかげで、雑草の種が埋まり抑草効果にもなる。毎年子どもたちが、このたんぼで泥んこプロレスをやるそうだが、このたんぼで遊んだ子どもたちは、インフルエンザにかからないそうだ。雁だけでなくハクチョウたちもやってくる。人の手からエサをもらうハクチョウしか見たことがなかったので、「ふゆみずたんぼ」にゴボッと長い首を突っ込み、かき回して泥だらけの顔をこっちに向けているハクチョウを見て大爆笑してしまった。

わたしが蕪栗沼を訪れてのちに、東日本大震災によって、こんなに素晴らしい「ふゆみずたんぼ」も深刻な被害を受けた。現在、復興は生物多様性に配慮した「グリーン復興」を目指し「海と田んぼのグリーン復興プロジェクト」として活発な活動が行われている。その宣言文には「今、できるだけ早い復興は共通した願いですが、環境への影響評価を行なうことなく、早急に山や森を削り、川や海、そして田んぼの生物多様性や生態系への配慮のない造成は、生態系サービスを低下させて、被災地以外にも多くの二次的な災害を生み出しかねません」とある。建物の復興ではなく、自然と暮らしの復興こそが目指されなければならない。

冬にも水を湛え、雁やハクチョウが舞い降りる美しいたんぼ…生物多様性が守られ、育まれる農業は、日本の風景を作り出す。毎年11月になると、雁たちは次々と渡って来る。何万羽もの雁に埋め尽くされた蕪栗沼は、一生に一度は見ておいて欲しい命めぐる風景だ。

(坂田)

NPO法人たんぼ http://npotambo.com/

蕪栗ぬまっこくらぶ http://www5.famille.ne.jp/~kabukuri/

海と田んぼのグリーン復興プロジェクト https://sites.google.com/site/greenfukko/

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