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スペシャル

SPECIAL

生物多様性の山 高尾山は水袋

2014.06.19

東京の一番西のはしっこにある日本で一番小さな国定公園高尾山は、新宿から1時間。高さは599mと低く、子どもでも登れる山、遠足の山と言われる。アクセスの良さから、年間約300万人が訪れる世界で一番人が登る山だ。しかし、遠足の山とバカにしてはいけない。高尾山の生物多様性の豊さは、尋常ではない。

植物種は約1300種で日本一植物の種類が多い山。イギリスが一国で1500~1600種だから、この多様さはすごい。特に人気が高いスミレは80種もある。昆虫は、約5000種で、日本三大生息地のひとつ(他の二つは、大阪の箕面山と京都の貴船)。蝶だけで80種、トンボも80種、カミキリムシにいたっては約150種もいる。トンボの化石と言われるムカシトンボの産卵が、その辺の湧き水で見ることができてしまう。多くの植物学者や昆虫学者が、高尾山で学ぶわけだ。草や木がたくさんあり、昆虫も多いとなれば鳥にとっては天国。野鳥も150種ぐらいが確認できる。この数字は、渡り鳥も含めて日本すべての鳥類の4分の1にあたる。

  • コチャルメルソウ
  • セントウソウ
  • タチツボスミレ
  • ニリンソウ
  • ヤマブキ

ふつう人がたくさん登れば山は、ダメになる。ではなぜ、高尾山では、この豊かさが維持できるのだろうか?ひとつは地理的条件だ。高尾山のケーブルのあたりが、東の植物と西の植物が出会うラインになっている。高尾山の北斜面には、ブナやコナラなどの落葉樹、南斜面には、シイやカシなどの照葉樹があり、入り混じっている場所もある。さらに、沢があるため渓谷林があり、針葉樹林もある。とても小さな山なのに、多様な生態系が息づいている。

もうひとつの理由は、高尾山の水の豊富さだ。高尾山は一億年前には海の底だったが、一気に隆起してできた山。そのため地層が、70度~80度とほぼ垂直になっている。これは小仏層と呼ばれている。この地層と地層の隙間を水道(みずみち)が縦横無尽に通っているのだ。雨が降ると、地面にしみ込んだ水は、この水道を通り、約15年間山のおなかの中をめぐる。そして、湧水となって大気と出会い、また雲となり雨を降らす。また高尾山のいたるところには、湧き水があふれている。この水の循環が、多くの命をささえている。

高尾山は水の山なのだ。土の上を歩いているというより、水の上を歩いていると言ったほうが近い。まるで、山は人間のからだと同じだ。血液が血管をとおり、からだじゅうめぐるように、山の中を水は、めぐっている。人間のおなかに、大きな穴をあければ死んでしまうように、山も大きな穴をあけられると、血をふきだすように水を吹き出し、弱っていく。高尾山にトンネルを掘ることは、水袋に槍をつきさすようなものだと地元では語られていたのだが…

ついに2011年8月、圏央道高尾山トンネルが貫通してしまった。トンネルを掘らないで欲しいという声も、一度決まった計画を変更することはできなかった。水をあまりに吹き出すため、海底トンネルと同じ工法で掘られ、1mにつき7000万円という税金がつぎ込まれた。

さらには、ミシュランの観光地三ツ星をもらったがために、もともと多かった登山者がさらに激増した。トイレが足らなくなり、一億円かけてトイレの整備がされたが、なぜかウォシュレット。排水をためるタンクを置くために、モミの木たちが伐採された。山頂は、もっと多くの人が富士山を眺められるようにと、展望台を広くするため、多くの木が伐採された。それでもさらにもっと人を増やそうと、京王線高尾山口に、温泉施設を造るため2000mもボーリングされてしまった。

  • 巨木との出会い
  • 美しい苔たち
  • 湧水
  • 落葉樹と照葉樹

それでも今日も、岩の上の苔たちは、たっぷりの水を含み、スギッコやモミッコたちが飛んできて根を下ろすのを待っている。雨上がりには、木々たちが、吸いすぎた水を幹や葉先から靄にして吐き出し、大気に返している。沢沿いから冷気がひんやり流れてくる。そして水を必要とする命が、集まってくる。山は大きなダメージを受け、少しずつ弱ってきているが、まだ頑張っている。
かつて、高尾山は、一匹の虫さえも殺してはいけない殺生禁断の山であり霊山だった。その後も国定公園や都立公園などに指定され、都心からたった1時間であるにもかかわらず豊かな生物多様性を持つ奇跡の山として大事にされてきた。開山から1300年、人と山はうまくやってきたのに、この30年、たった30年で人と山の関係は変わってしまった。山は、ずっと変わっていない。変わったのは、わたしたち人の方だ。(坂田)

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