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スペシャル

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【特派員メモ!】タンチョウへの愛しさと せつなさと 心強さと

2018.03.08

特派員 萩岡真美

タンチョウは日本で一番大きな鳥。大きな鳥が生きていくにはたくさんの餌が必要となります。たくさんのタンチョウが、冬もお腹いっぱい食べられるってどんなところなんだろう??2月下旬、1泊2日で釧路市阿寒郡鶴居村へ行ってきました。

今回釧路に行くまで、「タンチョウって鶴だから、大きめの白っぽい鳥だよね。」くらいの認識しか私にはありませんでしたが、2日間の鶴居村滞在で、すっかりタンチョウLOVE♡。まずはこの2日間で醸成されたMyタンチョウLOVEポイントを3つ語らせて下さい。
※写真と動画は自身のスマホで撮影したものです。ぼやっとしていることはご容赦ください。

1.自己主張の強さ

タンチョウ

タンチョウは鳴き声や動きによる感情表現(人間でいえば)がわかりやすく、観察中に勝手にアテレコして楽しんでいました。なわばり意識が強く、タンチョウたちが集まっていると興奮しやすいようで、ケンカでのハイキックを何度も目撃しました。
また、2月は求愛ダンスが見やすい時期。タンチョウは、愛を確かめ合う踊りをつがいで行うのです。なんてロマンチック。この写真はきっと、求愛ダンスを誘っているところ。このあと踊っていそうな様子が見られました。動画は撮れず、詳しい方に「求愛ダンスだ」と確認してもらえなかったので、きっと、求愛ダンスだろうということにしておきます。

2.幼鳥の愛くるしさ

タンチョウ

両親の後ろをピーピー鳴きながらついて歩く幼鳥。この写真の幼鳥はたまたま体が小さめですし、首も翼も茶色くてTHE・幼鳥という見た目なのですが、この時期の幼鳥には親よりも大きく、翼もすっかり黒くなり、首の色が少し茶色いくらいの子も多いのです。体のサイズが変わらない大きな鳥が、鳴き声だけは「ピーピー」と赤ちゃん声なのです。なんとも言えない庇護欲をおぼえます。語彙が少なくて恐縮ですが、とにかく可愛いんです。可愛いもんは可愛い。





3.子への愛

タンチョウ

3月は繁殖シーズン。タンチョウはオスとメスが協力して湿原で巣作りをし、2個の卵を生み、交代で卵を抱きます。通常は30日ほどでヒナが誕生しますが、死産の場合もあります。孵らない卵を数十日も抱き続けることがあるそうです。都市伝説的な噂では、90日以上抱き続けたという観察記録があるとかないとか…。卵から孵ったヒナたちが2羽とも成鳥することは珍しいそうで、家族単位で行動するタンチョウは、つがいの2羽か親子3羽で飛んでいる姿が多かったです。ただこの写真の2羽は、後ろのタンチョウの首が茶色いので親子です。母鳥か父鳥のどちらかが、亡くなられたのでしょうね。



こんな愛しきタンチョウたち、もともとは渡り鳥でした。世界的にはいまも渡り鳥でして、日本にいるタンチョウは、日本の湿原や四季などを気に入って留鳥になった方々なのです。白い大きな体、翼の黒、頭部の赤と、見目麗しいタンチョウは絵画や詩などにたくさん描かれています。日本の芸術にもたくさん登場するタンチョウは、江戸時代まではたくさんいましたが、明治時代の乱獲(食べると長寿になると言われていた。また、銃が普及し始め、狩りが簡単になった)と急速な開発(生活場所である湿原の減少)などによって激減し、大正13年に十数羽が再発見されるまでは、絶滅したと思われていました。

こんな光景が見られるまでに増えてきたのは、地元の人たちによる給餌(餌やり)のおかげです。

鶴居・伊藤サンクチュアリでの給餌の様子。2月23日14時頃。目の前で約200羽のタンチョウが動いているのは圧巻。

この写真は北海道阿寒郡鶴居村にある鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ (大給餌場。ネイチャーセンターがある。)冬場は毎日200羽ほどのタンチョウが餌を食べにやってきます。

鶴居村での給餌の始まりは1952年。畑で弱々しくうずくまるタンチョウを見つけた小学生が学校に相談して餌やりをし、それがじわりじわりと地域に広がっていきました。10年ほどは、地元の人たちのタンチョウへの愛情だけで行われていたようです。地元民で力を合わせていたとはいえ、自腹を切っての餌やりは資金的にも労力的にも大変だったのではないでしょうか。1962年からは行政の手も入るようになりました。 給餌がはじまりかれこれ65年余り。官民で力を合わせての餌やりが、見事にタンチョウの数(鶴居村だけで1300羽を超えている)を回復させたのです。
釧路出身の同じ歳(38歳)の友人は、今回わたしが一泊で釧路まで行くのを「見られないかもしれないタンチョウのために、短い時間でわざわざ行くの?!」と、不思議に思ったそうです。友人が小学生になった1987年頃、北海道にいるタンチョウの総数で400羽程度。友人の思い出の中のタンチョウは、見ようと思って見られる鳥ではなかったのですね。30年たった現在、北海道のタンチョウは2000羽程度にまで増えています。友人に撮影した写真と動画を見せたら、どひゃーっと、いいリアクションをもらえました。

ただ、タンチョウが増えたことを手放しでは喜べないなと思いました。
給餌場でまかれているのはデントコーンという飼料用のトウモロコシ(牛のエサ)です。タンチョウは本来、木の実やトンボ、ドジョウ、タニシ、カエル、時には15cmもある魚まで、いろんな動植物を自分で取って(狩って)食べる鳥です。

湧水が染み出てできる、氷点下が続いても凍らない小さな川などで貝や魚、昆虫の幼虫などをタンチョウは食べます。ごく少数ながら、給餌場には来ずに、湿原のなかのこのような自然採食地だけで越冬する家族もいる。いつか遠目から会いたい。 湧水スポットでは、表面だけが凍った美しい自然の造形物がみられました。湿原の乾燥化がすすんできているのですが、そうなると湧水がへり、川や水たまりが凍り、水の中の生き物たちが減っていくことになりますが、こういう造形物も見られなくなるんですね。

給餌場にくるタンチョウたちが、人から餌をもらうことに慣れきっていくことに問題がないわけはありません。近年、デントコーンの味を覚えたタンチョウによる、牛舎の餌場への侵入事件が多々発生。餌がとられるだけではなく、タンチョウにびっくりして暴れた牛が怪我をすることも増えています。畑のものがたべられてしまうこともあります。牧場経営や農業におけるその被害額は、タンチョウへの愛だけではやり過ごせなくなってきているようです。

湿原でも問題が起きています。湿原の減少も理由に絶滅しかけたタンチョウですが、再発見された大正時代と比べても湿原は減少しています。人間からの餌でタンチョウは増えましたが、タンチョウが暮らす湿原は広くなっていないのです。湿原に生きる、タンチョウに食べられる側の他の生き物たちの一部には絶滅の危機が発生?!あちらをたてればこちらがたちません。

参考図書

タンチョウ

どうぶつさいばんシリーズ タンチョウは悪代官か? 
竹田津 実 (著),‎ あべ 弘士 (イラスト)

サンクチュアリのネイチャーセンターに置いてあり読みました。
子ども向けの絵本ですが、ざっくりとまとまっていますし、絵も素敵。大人にもおすすめです。
タンチョウの困った様子に切なさを感じました。

10秒ほどの給餌動画をご覧ください。どう感じますか?

タンチョウはなわばり意識が強く、他のタンチョウがいると興奮しやすいのですが、給餌中は餌に夢中でとても大人しいのです。餌にまっしぐらなだけで、列をなそうとしているわけではないはずですが、私には行列に並んでいるように見えてしまうんですよね。目の前で一斉に動くタンチョウの姿に圧倒され、興奮し、むしろはしゃいだ気持ちで撮影しましたし、動画を改めて見ると「まるでカモの親子みたい。なんか可愛い」とも思います。でも、野生の生き物が飼いならされていっているようにも見えて、それを考えると気持ち悪さもでてくるんです。

と、いうわけで。たくさんのタンチョウが冬もお腹いっぱい食べられるのは、(いまのところは)湿原の生物多様性がなせる業ではなく、地域が一丸となって時間、労力、知恵を絞ってきた保護活動のなせる業でした。
人間の暮らしが原因で激減させてしまったタンチョウ、人間がかわいそうにと思い直して保護をして増えたタンチョウ、自然の餌だけでは生きていけないタンチョウ、湿原での居場所が足りなそうなタンチョウ、冬場の観光の目玉となっているタンチョウ。一つの生物種について、2日間も集中して考えたのは初めてでした。タンチョウに集中することで、タンチョウをとりまく様々な生き物たちが支え合う様に没入することができました。

給餌の問題改善の1つの手として、冬季の自然採食地の整備・拡大があります。地域の企業が社会貢献で作業に参加するなど、タンチョウと共生する未来に向けた心強い取り組みは生まれています。一般のボランティアの募集もあるようなので、釧路湿原にじっくりと足を運びがてら、乾燥化した湿原の草刈りをするのも楽しそうです。

※この特派員の記事は平成29年度地球環境基金の支援を受けて作成しました。

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