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グループ活動

GROUP ACTIVITY

【論述】COP12における先住民族と地域コミュニティ(IPLCs)の活動

2015.06.21

UNDB市民ネットワーク 三石朱美

本稿では、CBD COP 12を通じて先住民族と地域コミュ二ティ(IPLCs)がどのような活動をしたかを紹介することで、彼らが生物多様性条約の実現に対しどのようなことを期待しているのか、を紹介する。

先住民族と地域コミュニティ
本稿で紹介するIPLCs(先住民族と地域コミュニティ)とは、生物多様性条約において条文の中に参加が確保されているIndigenous and Local Communities (ILCs)という枠組みで活動している人々のことを指している。生物多様性条約においては、各国間で生物資源をどのように取り扱うかに関する取り決めのみならず、各国内における先住民族や地域コミュニティといった多様な共同体の内部で歴史的に受け継がれてきた生物資源や遺伝資源の慣習的利用の根幹となる伝統的知識を、どのように保全し、持続可能に利用し、そこから得られる利益に公正にアクセスし利益配分していくか、といった点が目的であるため、知識利用者たる先住民族や地域社会の当事者が議事において意見を直接述べるということが非常に重要視されている。
IPLCsは、この生物多様性条約を単なる環境条約として技術的に聖地化させていくだけでは、地域における生物多様性を守るととができないという観点に立って、知識所有者である彼らの人権や社会的公正に関する条約の側面をより重視した立場をとっており、生物多様性条約の運用においても、国連憲章、国際人権規約、先住民族の諸権利宣言などとの整合性を明確にしていくことを求めている。

会期前戦略協議
CBD COP12が開会される直前の2日間、IPLCsは戦略会議をもった。世界中のさまざまな地域でそれぞれ生活しているIPLCsメンバーにとって、この戦略会議は、各地域でそれぞれが行っている取り組みの成果と課題を共有し、共通の課題意識を持ってCOPの場で締約国に力強いメッセージを送るための大変重要な機会なのである。

参加者は、CBD COP11からCBD COP12までの2年の聞に、CBD事務局とともに実践した地域ごとのワークショップの成果などを報告し、またSBSTTA17、SBSTTA18、8jWG8、遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する作業部会(ABS-WG)、第5回条約実施に関する作業部会(WGR15)などで行われた議論についても、各会議に参加したメンバーから一人または二人の報告を共有して、BD、COP12での成果文書の前提になる流れを把握した。

ほとんどの参加者にとって、最も大きな関心事で、あったのは、ABSに関する論点と伝統的知識を扱う8条(j)項に関する論点であった。特に、ABSに関する論点については、COPの成果文書案の中ではあまり触れられておらず、CBDCOP11までの議論の中で積み上げてきた成果が名古屋議定書MOP1議題の方に集中していることへの懸念が大きくあった。
名古屋議定書は50カ国以上の批准を元に、今回のCBD COP12ではCOP-MOP1が平行して開催されるという点で大きな前進があったものの、生物多様性条約の締約国である194カ国全てが名古屋議定書を批准しているわけではないため、COPの成果文書が締約国にもたらす影響に比べ、MOPの成果文書が等しく全ての締約国に同等の法的拘束力を持つのか、という点の懸念が大きかったのである。
そこで、IPLCsでは、ABSと伝統的知識に関する活動については、COPの議題の中でより大きな取り扱いをしてもらえるよう各締約国へのロビー活動やCBDCOP12の議事進行の中での働きかけを行うことと、名古屋議定書に関するCOP-MOP1の場において、IPLCsが名古屋議定書の実践過程において、実質的な役割を果たせるような参加の道筋を確保すること、の2つが目標となった。

Terminology(用語に関する議論)
さて、CBD COP12の中でIPLCsメンバーが最も時間をかけて参加した議題が、Terminologyといわれる条約の中で用いられる用語に関する議論であった。
これは、CBDが1993年に発効された当初から、先住民族と地域コミュニティの人々の参加についてIndigenous and Local Communities (lLCs)という枠組みとして明文化していたことに由来する課題であった。
CBDは93年の発効時からすでにILCsの参加を認める形で議論が行われていたが、その他、一般的な国連での議論は、CBD発効後の2007年にようやく国連総会の場で、それまでの国連人権委員会(後の国連人権理事会)や先住民族特別作業部会などでの20年にわたる長い議論を経た末に、先住民族の権利に関する国連宣言(United Nations Declaration on the Rights of Indigenous Peoples)が賛成多数で、採択されたのであった。この宣言に法的拘束力はないものの、先住民族に対する差別を禁止することや彼らの権利を明確に保持すること、彼ら自身が目指す経済・社会的な発展を促進することなどが記されており、草案作成プロセスにおいての議論では、先住民族の自決権や先住民族の土地に存在する天然資源の管理なども論じられた包括的な権利宣言であった。ここで、先住民族を記す用語がIndigenous Peoplesとなったため、ILCsは、CBDの公式文書の表記をILCsからIndigenous Peoples and Local Communities(IPLCs)に統ーしてほしい、というととを求めていた。

この議論は、CBDCOP11のときにも大きな議題となったが、それ以降の作業部会などでも議論になり、この用語変更によって締約国が果たすべき法的な意味合いに変更があるのかどうかについて、条約事務局からもいくつかのレポートが提出されるなど準備されていた。IPLCsの立場は、CBDのこれまでの成果は国連宣言が出される前から積み上げられてきたものであり、用語の統一を図ったとしても、それによってとれまでの成果文書の意味合いも自分たちの立場のあり方も、法的にはまったく変更がないことを確認した上で、その他、国連の人権議論などにもあわせた言葉遣いに統ーしてほしいというものであった。この論点に関してはFriends of the Chair (FoC)が聞かれたのだが、カナダ1国による強硬な反対によって議論は空転し、5日聞にもわたる連日のFoC開催となった。カナダの場合には、連邦政府とFirst Nationと呼ばれる先住民族との間で土地利用などに関する契約を結んでいるという事情があり、Peoplesがつくかつかないかが、国内法体系の運用に影響が生じかねないという懸念があったようだが、ちょうどCOPの会期と国内の祝日である感謝祭が重なってしまう日取りであったことや韓国と本国との間に半日間の時差があったことで、韓国時間の金曜の会議が終わった後、中央政府とのやりとりをCBDCOP12にフィードバックできるのが韓国時間の火曜日の夜までかかってしまう、といった不幸な事情もあった。

しかし、あまりにも議論が堂々巡りの成果がみえないやりとりで時聞を費やしてしまったため、Friends of the Chairでは途中退席する国や、議長からWG2にもう一回議論を戻して「どこが合意の邪魔をしているのか明らかにした上で、合意を待つその他の国々に判断をゆだねる」という手続きが可能なのか、といった異例の申し出がされるなどの緊迫した会議が続き、ILCs参加者からも「本来、CBD COPの場で取り組みたい課題は多くあるのに用語の議論が繰り返されることで、実質的な参加を阻害されている」といった苦言も表明された。
ILCsメンバーが望んでいたのは、自分たちが国際社会でどういう呼ばれ方をするかについては、自分たちが求める呼び方でありたい、というシンプルなことであったが、議論の空転に対する記者会見を行うなど多くの取り組みがされたのであった。
COPでは、条約本文の用語についてまでの変更はできないが、今後提出される公式文書内ではILCsではなくIPLCsという用語を用いるという結論が採択されるにいたり、先住民族が待ち望んだ瞬間が生じたが、用語の変更はあっても法的意味合いとしての変更はないことを議事録に残すことをカナダが要求するという形で、長かった議論の決着がついた。

IPLCsにとっては、彼らが所有する伝統的知識や慣習を国際社会が一般的に理解できる科学の文脈でどのように説明し、人類が尊重すべき知としての価値を築くかということも大きな課題となっている。
CBD COP11の時には、先駆的事例としてフィリピンのコルディレラ地方で実践されているコミュニティインディケーターの取り組みが参加者に共有され、各地域ごとの取り組みを通じた指標づくりへの土台が作られた。
CBD COP12が開催されるまでの2年間で、ラテンアメリ力、アジア、オセアニア、北欧、アフリ力、ロシア、北極圏などでも、いくつかの地域で独自の指標作りに関する取り組みが行われ、地域間ワークショップの開催や、SBSTTAのサイドイベン卜やIPBESでの報告などの形で事例の共有が行われるようになってきた。

そこで、IPLCsでは、会期中にこの件に関するミーテイングを開き、CBDCOP 13に向けては、地域ごとの事例報告を聞いて共有するだけではなく、各地のレポートをひとつにまとめた形で、IPLCsが発展させている文化指標を締約国にも伝わりやすくするための発信を目指して準備を進めていくととが確認された。

名古屋議定書COP-MOP1での成果
IPLCsにとって、もうひとつ大きな課題であったのは、名古屋議定書の発効に伴う実施プロセスにおいて、主体的な参加の道筋を確保することであった。
この点については、COP-MOPlでコンブライアンス委員会が発足することが採択され、批准国からは、地域ごとに2名ずつ、IPLCs全体として2名の参加が認められる、という大きな成果が上がった。
IPLCsがコンブライアンス委員会メンバーとして選出したのは、米国のプレストン・ハリソン氏とパナマのオ二一ル・マサドーレ氏の2名と、オブザーバーとして、フィリピンのジェニファー・コープス氏の合計3名である。

CBDCOP12に関する評価
CBDCOP12に関するIPLCsからの評価については最終日に行われたABSに関するコミュニティでの実践に関するサイドイベン卜でまとめとなった発言を紹介することで本稿の結論としたい。

“私たちは、今日、このCBDCOP12最終日のサイドイベン卜で、コミュニティプロトコルの実践例や成果を共有した。今回の名古屋議定書COP -MOPlでは、IPLCsがコンブライアンス委員会に2名任命されることになった。大きな成果だと思う。
IPLCsの伝統的な知識や知恵を指標化して科学的に説明するための取組もIPBESを中心に始まっている。

しかしながら、今回のCBD COP12で一番大きな議論になったのは、terminologyだった。先住民族が問いかけた、自分たちをどう呼んでほしいかという要求に対し、どのように応えるのかという議論に、国際社会は、いまだずっと長い時聞をかけていた。名古屋議定書のCOP-MOPlが始まって、CBDの理念の実現が着々と前に進んでいると信じ、今回のCOPが前進だったとする国際社会は、何か大きなものを見失ったままなのではないだろうか。

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