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【論述】沖縄島における米軍基地建設が生物多様性におよぼす脅威

2015.06.21

ラムサール・ネットワーク日本 花輪伸一

はじめに
生物多様性に富む琉球列島の島々は、それぞれが壊れやすい小面積の島嶼生態系である。そのため、各種開発や人為的撹乱は、島の自然環境や野生生物への直接的な脅威となる。特に沖縄島では、亜熱帯林を伐採し、また、サンゴ礁を埋め立てて造成される米軍基地とそこでの軍事訓練は、生物多様性と地域住民の生活に大きな悪影響をおよぼす。ここでは、琉球列島の生物多様性、東村高江のヘリパッドおよび名護市辺野古の新基地建設の問題とCBD COP12でのサイドイベン卜、最近の沖縄の状況について簡単に報告する。

琉球列島の生物多様性
琉球列島は、九州、から台湾までの間、約l,300kmにわたり弧状に連なる島々である。地史的に見ると、地殻変動や氷河期の海面変動により大陸との連結と分離をくり返している。そのため大陸から渡来した生物が島ごとに隔離されて独自に進化し、多様な固有種、固有亜種が生息・生育している。これらの種は、多くが絶滅のおそれのある種である。また、動物地理学上の区分では旧北区と東洋区の移行帯にあたり、南北両系統の要素が含まれ、多様性豊かな動物相が形成されている。一方、黒潮とモンスーンによって多量の降雨があるため、世界的にみると比較的希な亜熱帯林が豊かに生育している。冬期も海水温が高いため島々にはサンゴ礁が発達し、陸と海の移行帯には、干潟やマングローブ林が広がり、多様な自然環境に恵まれ多くの野生生物の生息場所となっている。地球規模でみて生物多様性に富む重要な地域、海域である。

東村高江の米軍ヘリパッド建設
東村・大宜味村・国頭村の国頭山地には、亜熱帯の照葉樹林が発達する豊かな森林生態系・淡水生態系が残され「やんばるの森」と呼ばれている。
ここには米軍北部訓練場(約7,800ha)があり、その北半分の返還条件として、高江の集落を取り囲むように、垂直離着陸機オスプレイ用のヘリパッド6か所の建設計画がある。すでに住民の強い反対を無視して工事が強行されている。ヘリパッドは無障害物帯を含めて直径75メートルの巨大なものであり、幅3メートルの進入路も合わせて造成される。
沖縄防衛局は自主的な環境アセスを行ったが、ヘリパッド建設と米軍の運用を前提とした非科学的なものであった。ヘリパッド完成後に、オスプレイによる軍事演習が頻繁に行われるようになれば、強い騒音や低周波音、着陸時の高熱の下降気流によって、周辺に生息するノグチゲラ、ヤンバルクイナ、固有種のノグチゲラ、アカヒゲ、アマミヤマシギなどの固有種、希少種の繁殖、生息を妨げることは確実で、生物多様性の劣化は避けられない。
現在すでに高江住民の安心、安全な生活はヘリパッド工事によって脅かされ、大きな負担がのしかかっている。

辺野古・大浦湾の新基地建設
名護市の辺野古・大浦湾・嘉陽の海域は、巨大なアオサンゴ群集を含むサンゴ礁や海草藻場が広がり、日本では絶滅のおそれが最も高い哺乳類であるジュゴンが生息する。米軍普天間飛行場の移設とされるが、実際は老朽化した普天間基地に変わる新たな巨大軍事基地の建設である。2013年12月末に、前の沖縄県知事は公有水面の埋立を承認したが、この埋立承認は、公有水面埋立法の第4条1項を満たしていない。沖縄県の「自然環境の保全に関する指針」では埋立承認された海域は厳正な保護を図る区域に含まれ、生物多様性豊かな沿岸域の埋立は、合理的な国土利用ではない。また、環境アセス自体が科学的かつ民主的には行われていないにもかかわらず、環境保全への配慮は適正という恣意的な結論になっている。評価書に対する前知事の「自然環境および生活環境の保全は不可能である」という意見はそのままであり、名護市議会の議決を得た名護市長の埋立反対意見への見解も何も示されていない。現在の普天間飛行場では、協定違反のオスプレイの訓練が日常化しており、辺野古新基地ができた場合には、同様に地域住民の生活への悪影響はたいへんに大きいことが予測される。

米軍基地による過重な負担
沖縄県には日本の米軍専用基地の74パーセントが集中し、沖縄島はその面積の18パーセントが米軍基地によって占有されている。戦後の70年間、かつては日本本土からの基地移転により面積が増大し、今では機能強化された基地が新たに建設されようとしている。一方で、振興資金による大規模公共事業により、沖縄の海も山も川も、その自然環境は破壊されつつあり、地域住民の持続可能な生活も脅かされつつある。
沖縄では、米軍基地が集中し、軍用機の耐えがたい騒音や墜落の危険、また米兵による事件、事故が常態化している。このような状況は、日本国憲法が保証する住民の権利を無視するもので明らかな差別である。沖縄では、このように環境、人権、平和がまったく軽んじられている。

CBD COP12のサイドイベン卜と共同声明
2014年10月に韓国のピョンチャンで開催されたCBD COP12では、ラムサール・ネットワーク日本と韓国CBD市民ネットワークの主催でサイドイベント「沖縄島と済州島での軍事墓地建設による島の生物多様性に対する脅威」が開催された。参加者数は75人、大部分が日本人と韓国人で、先住民および地域住民グループが約10人であった。
沖縄からの報告は前述のとおりである。韓国からは、済州島カンジョン村の海岸に韓国政府によって巨大な海軍基地が建設されつつあり、すでに、特異的な溶岩地形で地質学的に価値の高いクロンビ岩とよばれる巨大な一枚岩が破壊されたこと、沿岸域には多くのソフトコーラルや絶滅のおそれのあるカニなどの海洋生物が生息し、生物多様性に富んでいること、また魚介類の重要な漁場でもあることが報告された。

日本でも韓国でも、地域住民や環境保護団体、科学者が、自然と生物多様性の保護、地域住民の生活を守るために、軍事基地建設に対して強い反対意見を表明している。地域住民は、それぞれの基地建設場所で、長い間、座り込みによる抗議行動を継続している。しかし、日韓両政府ともに、地域住民や自然保護団体の反対意見や抗議行動を無視し、排除しようとしていることが報告され、参加者一同による共同声明「軍事基地建設によって島の生物多様性が脅威を受けている」が採択され翌日の記者会見で発表された。

最近の沖縄
沖縄の世論調査(琉球新報2014年8月26日)では、辺野古沖の埋立に反対する意見は約80パーセントで多数を占めている。昨年行われた選挙では、名護市長選(1月)、名護市議選(9月)、県知事選(11月)、衆議院選(12月)ともに、基地建設に反対する候補が圧勝した。基地建設に対する沖縄県民の民意は明らかであり、それを尊重した政策を行うのが日本政府の役割のはずである。

しかし、安倍政権は県民の意志を無視し、辺野古と高江の基地建設を強行しており、民主主義に反する政治を押し通している。翁長沖縄県知事は上京し政府首脳との対話を求めたが、安倍首相や閣僚は多忙を理由に面談を拒否するという事態になっている。また、沖縄振興予算も大幅な減額と伝えられており、露骨な差別、沖縄いじめが始まっている。このような安倍政権のファシズム体質に対して、私たちも強く異議を唱えていく必要がある。

軍事基地ではなく自然遺産に
沖縄島をはじめ琉球列島の島々は、その自然環境と生物多様性の豊かさが、かけがえのない財産である。県民の意志を重視し、軍事墓地建設ではなく、生物多様性を保護しながら持続可能な利用を行うことが、沖縄と日本の未来にとって重要な政策である。そのため、自然保護区の設定を積極的に行い、沖縄島地域では、やんばるの森と辺野古・大浦湾・嘉陽の海を自然遺産として登録するべきである。


[カンジョン・高江・辺野古住民共同宣言文]
軍事基地建設によって島の生物多様性が脅威を受けている!

脅威を受けている島の生物多様性
今、この瞬間も、韓国の済州島と日本の沖縄島では、住民たちの意見を黙殺したまま新しい軍事基地が建設されている。
済州島カンジョン村では大規模な海軍基地の建設によって、独特な溶岩地形であり地質学的価値がある絶対保全区域であったクロムビ岩が破壊され、カンジョンの沖合の美しいソフトコーラルなどさまざまな絶滅危惧海洋生物が脅威にさらされている。済州の海軍基地の沖合はUNESCO生物圏保全地域を含み、韓国政府によって天然記念物として保護を受けている場所である。また、基地建設によってすでに沿岸漁業では否定的な影響を受けていると海女や漁民らが証言している。
日本の沖縄では新しい米軍基地建設によって、サンゴと海草が豊かな辺野古と大浦湾の埋立計画を推進中で、現在陸上部の工事と沿岸部のボーリンク調査が進められている。この地域はIUCN (国際自然保護連合)が指定した絶滅危惧哺乳動物で、あるジュゴンの重要な生息地でもある。沖縄の人々にとってジュゴンは伝統的、文化的な意味を持つ動物である。また、沖縄島北部の高江は独特な亜熱帯性の森林地域「やんばる」にあるが、このやんばるの森には巨大な米国海兵隊の北部訓練場がある。やんばるの森は国際的に重要で保護地域にすべきと評価されており、特別天然記念物のノグチゲラ、天然記念物のヤンバルクイナ以外にも多様な生物が生息している。ここはすでに軍事訓練による耐え難い騒音や墜落の不安におびやかされているにもかかわらず、さらに新しい6つのヘリパッド建設に着手している。

高江と辺野古の新基地建設・済州海軍基地建設を中止せよ!
2014年国際生物多様性の日のテーマは「島の生物多様性」である。島とその周辺の海は川と森につながる独特の生態系を持っている。島と海岸地域で進められる様々な開発事業は自然環境を大きく変化させ、生物多様性も傷つけている。特に軍事基地の建設とその運用は該当地域の住民たちの生活の根幹を揺るがす大きな脅威となっている。
済州海軍基地建設事業、辺野古と高江の新基地建設事業は住民たちの涙を踏みつけて建設されている。住民の同意のない基地建設、海洋生態系の破壊は韓国と沖縄で同時に起こっている。生命のない平和はありえず、平和のない生命もありえない。済州力ンジョンと辺野古、高江の軍事基地は海や山によって生きてきた住民たちの生きる方法を破壊し、住民と共に生きてきた生態系も傷つけている。
私たちは、生活の拠り所であり生命の宝庫である美しい島、沖縄と済州が軍事基地建設によって脅威を受け傷つけられることを、決して望まない。絶滅危惧種と保護区域の指定だけでなく実質的な保護が重要である。高江と辺野古の新基地建設、済州海軍基地建設は中止されなければならない。


2014年10月9日CBD仁OP12サイドイベン卜
「沖縄島と済州島での軍事基地建設による島の生物多様性に対する脅威」参加者一同

【韓国]カンジョン村会、済州島海軍基地阻止と平和の村の実現のための全島民対策委員会、済州島海軍基地建設阻止のための全国対策会議
【日本】ヘリ基地反対協議会、ヘリパッドいらない住民の会、沖縄平和市民連絡会、沖縄環境ネットワーク、沖縄・生物多様性市民ネットワーク、沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団、ラムサール・ネットワーク日本、UNDB市民ネットワーク

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