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【論述】日韓NGOの連携-湿地、そして生物多様性へ

2015.06.21

ラムサール・ネットワーク日本 柏木実

2014年10月6日から17日まで、大韓民国東海岸、江原(カンウォン)道平昌(ピョンチャン)でCBD COP12が開かれた。この会議では日韓の草の根NGOが共同で主に以下の活動を連携して準備し、実施した。

  1. 10月8日(水)18:15
    サイドイベン卜:アジアにおける湿地の脅威とそれに対する取り組み
  2. 10月9日(木.)10:00
    記者会見:韓国4大河川事業
  3. 10月10日(金)18:15
    サイドイベント:沖縄とチェジュの島嶼生物多様性に対する軍事基地の脅威
  4. 10月11日(土)~12日(日)
    生物多様性と文化的多様性について考える週末プログラムである。

日本からは100人を超える参加者があり、CBDの守備範囲の広さを象徴していたが、特に、上記の共同活動は、日本側ではUNDB市民ネットとラムサール・ネットワーク日本、韓国側では韓国湿地NGOネットワーク(以下KWNN)とKCNが、1年以上前から準備してきたものであり、この流れは日韓の湿地グループが20年以上前から積み上げてきた交流が、新たな次元への大きな広がりを予感させるできごとであった。広がりが期待されるこの時点で、これまで湿地グループが積み上げてきた交流を振り返り、この芽を育ててゆくにあたっての参考となればと思う。

湿地関連の日韓グループのこれまでの交流は、便宜的に大きく3つの特徴的な時期に分けてよいだろう。

  1. 湿地開発反対運動の面での協力の時期
  2. 市民の科学の追求の時期
  3. 共通課題の追求と条約会議への積極的関与の時期

1. 交流のはじまり、または個別開発課題に閲する協力(1993-1997)
1993年6月にアジア初のラムサール条約の締約国会議ラムサールCOP5が釧路で開催される。日本では、高度成長期に次々に起こった各地の干潟開発に対し、個別に反対運動を続け、連絡を取りつつも永続的な核を作れなかった草の根湿地団体がこの会議に向けて日本湿地ネットワークを立上げ、湿地保全にかかわる全国組織のNGO、日本野鳥の会、WWFジャパン、日本自然保護協会、日本生態系協会と、「ウエットランド会議」を立ち上げた。ラムサールCOP5の日本政府報告の「日本のラムサール条約湿地には何も問題がない」という発言に対比し、NGO側の「日本国内には開発の危機にある沿岸湿地が少なくとも4つある。」との発表から、東アジア中緯度地域の湿地が脅威にさらされている現実が、締約国に認識されることになる。

この時、韓国はまだ締約国になっておらず、政府代表はオブザーバー参加したが、NGOはおそらく参加しておらず、日韓NGOの交流もなかったのではないかと思う。しかし釧路会議の直後、7月末に韓国・仁川(インチョン)沖の2つの島の間の干潟を埋め立てた今のインチョン空港の建設計画に反対する集会が開かれたが、日本の草の根団体からもここに参加。日本湿地ネットワークが11月に福岡市で開催したラムサールCOP5以降の課題を考える国際シンポジウムではこの問題を議題のーつとして韓国からゲストを招いた。また、この時期に博多湾とナクトンガン河口のNGOの行き来もあったという話もあるが確認はできていない。日本湿地ネットワークは、ラムサールCOP5を通して得た盛り上がりを1996年のオーストラリア・ブリスベンでのラムサールCOP6につなぐべく、WWFジャパン、地球の友四国と共同で中国、香港、韓国、ロシアの水鳥研究者を招いて、北東アジア湿地シンポジウムを開催。沿岸湿地の危機が東アジア全体に広がっていることを確認した。このとき、講師以外にも韓国の多くの研究者、NGOがアンケー卜に答えて協力を惜しまなかった。日韓両国の湿地NGOがそれぞれの抱える問題の共有を始めたという意味で、この時期が日韓NGOの公式の交流の開始と考えることができるかもしれない。

韓国では1990年代初頭から、上記インチョン空港の開発を始め、西南海岸の広大な干潟を埋め立てる計画が次々に打ち上げられた。空港計画地のすぐ近くの干拓事業でできたシファ湖では、94年ごろから、干拓工事の結果閉め切られた調整池の水質悪化と周囲に深刻な影響がみられるようになった。環境保護団体はこのことを焦点に、開発事業に反対するキャンペーンを始めた。韓国政府がラムサール条約加盟を考え始め、湿地にかかわる韓国NGOは、1996年春のオース卜ラリア・ブリスベンにおけるラムサールCOP6に15人ほどの代表団を派遣した。日本からも湿地保護に携わる日本湿地ネットワーク、WWFジャパン、日本野鳥の会などの団体が代表を派遣し、日韓の代表団メンバーは、会議におけるNGOの役割と、活躍を目の当たりにし、干潟・潮間帯の保全という共通の目的にむけて、今後締約国会議を使うことができることを確認しあい、人の行き来も含めて緊密な連絡が始まった。

1999年5月にコスタリ力・サンホセで開かれるラムサールCOP7に向けて、日韓の干潟・湿地保全運動に向けた協力は盛り上がる。日本では1997年4月に、宝の海と言われた諌早湾が293枚の鉄板で有明海から閉め切られる衝撃的な映像に、生き物との共生を願う運動が起こり、また伊勢湾奥部名古屋市の藤前干潟をゴミ最終処分場のために埋め立てる計画の進行に、ラムサールCOP6で出会ったつながりを利用して国内外への呼びかけが行われる。韓国でも1996年にシファ湖の悪臭を伴う水質汚染の解決のため海水が導入されることになったにもかかわらず、セマングム干拓工事が進められる状況に、環境団体が干拓予定地の生き物の豊かさをアピールして、法曹・科学者・文化人・宗教人へと広がっていく。

この盛り上がりの中、日本の湿地NGOは藤前埋め立ての現場の名古屋に各国からゲストを招きラムサールCOP7準備の国際シンポジウムを聞いた。韓国からは発表するゲストの他、活動家も参加し、この中で藤前埋め立てに対する環境省の異論が表明され開発計画が破棄されるととになる。ラムサールCOP7において日韓NGOは共通の問題を持って、会議に密接に連携を取りながら参加した。またこの会議で、先住民、地域住民の活動に関する決議が採択されたこともあって、国際的な連携の重要さを確認した。

2. 日韓共同干潟調査と日韓の干拓事業阻止裁判(1998-2006)
日本湿地ネットワーク共同代表の一人で諌早湾干拓に対して長年反対運動を続けてきた山下弘文は、日韓の干潟の類似性・共通性から、干潟保全のために科学的なデータの積み上げが必要であることを強調して、日韓共同干潟調査の実施を提案する。この活動は1999年1月と11月に準備調査をした後、2000年から2004年までトヨタ財団の助成を受けた。調査はその後も続き、2000年5月から2007年8月の間に全21次に亘る参加者は日本側50名、韓国側44名、ロシア1名と記録されている。調査の地域は韓国西南海岸(18次)と西日本の干潟(3次)、鳥類、底生生物、干潟文化を対象として、研究者と活動家・市民が共同で行ない、報告書6件、16件以上の論文・学会発表を通して、これまであまり顧みられなかった干潟に関する科学的知識が報告された。

研究者と市民の協力・共同による成果は、特に市民の調査活動の意味が無視されてきた韓国で市民活動が見直される。この調査から、韓国ではハン江、ナクトン江などで何年も続く継続的な市民調査団が結成され、重要なデータを提供してきた。また、日韓の干潟の共通性や共通に負っている問題等を双方が身をもって具体的に認識できたことも大きな成果である。

もう一つの成果は日韓の仕事の取り組み方の上での違いの認識である。日本人は行事に向けて余裕を持って計画的に準備を積み重ねる。一方韓国人は、準備期間はそれほど変わりないが、準備作業は直前に向けて密度が加速度的に増える。日本人にとっては準備日程が押してストレスとなるが、日本人が息切れする直前に韓国人のエネルギーで片付けていくため、日本人の周到な準備が完壁に生かされることを経験した。調査団は2005年に毎日新聞社と朝鮮新聞社による第11回日韓国際環境賞を受賞した。

この時期に、日韓の開発反対運動の連携が干潟開発に関する両国の裁判に対して、大きなインパク卜を与えた。諌早湾の締め切り以降、漁民、弁護士等が、数多くシファ湖、セマングムを訪れ、韓国からも諌早湾や中海、八郎潟干拓を訪れ、交流を深めてきた。諌早湾干拓事業の裁判において原告である漁民に市民団体が仲立ちする形で研究者の知見が主張に織り込まれ、セマングム干拓では賛杏両論の研究者・NGOの公開討論が行われ、NGOと研究者の協力が裁判にも生かされる。また、セマングム裁判でソウル地方法院の住民勝訴の判決に続いて、諌早干拓裁判の佐賀地裁の判決が出るが、日韓NGOの連携により、判決文はセマングム裁判の判決文を踏まえていることがわかる。

3. ラムサール条約決議「湿地としての水田」と日韓NGO湿地フォーラム(2006年以降)
水鳥のうちガン・カモ類は元来水田との関係が深いが2004年11月に韓国ソサン市で「水鳥の生息地としての水田」という国際シンポジウムが行われて以降、水田を農業用地としてだけでなく、生物多様性保全のための場所として見直す動きが日韓の水鳥関係者の間で急速に高まり、水田を湿地として評価するラムサール決議を目指す動きが始まった。この動きは、農業者・消費者の間で行なわれてきた「田んぼの生き物調査」や、「生物多様性保全型農業」の動きと同じ方向性を持っており、農業者・消費者などはすでに何年も前から日韓・日中韓の会議を持ってきていた。このことによって、日韓の湿地保護運動に関する協力は沿岸域から内水面を含む新たな広がりにつながった。

2008年のラムサールCOP10は、韓国・チャンウォン市で待なわれたが、地域で活動するNGOの声を国際条約の場に届けるためにと、韓国NGOはラムサールCOP9の会場で、ラムサールCOP 10事前NGO会議を開くことを約束していた。このため、日韓NGOは両国の沿岸湿地だけでなく農業湿地にまつわる問題点を洗い出し、取り組みを考えるため、2007年10月に第1回日韓NGO湿地フォーラムを開催し、その後、翌年4月、8月に第2、3回を開催し、ホストの韓国のNGOを日本のNGOが支えて、ラムサールCOP10を迎えた。

ラムサールCOP10に向けた水田決議の提案を日本政府に働きかけた際、農水省は消極的だったのだが、韓国の田んぼ生き物調査に取り組んでいたKWNNメンバーの働きかけで韓国政府が提案国になることを宣言したことで、日韓両国政府が提案することとなり、採択に到る。

日韓NGO湿地フォーラムはその後、年1-2回ずつ日韓交互に実施してきた。ピョンチャンでのCBD COP12を機に日本側はUNDB市民ネッ卜も加わり、昨2014年2月に9回目のフォーラムを実施してきた。

このように見てくると、運動の高まりと、活動範囲の広がりが、日韓の協力体制に新たなエネルギーを与えてきたように見える。CBD COP 12を契機に湿地だけでなく、生物多様性全般に関心が広がることで、新たなエネルギーが生まれることが期待される。しかしそれは自動的に生まれてくるものではないだろう。今、此処で、これまでの活動をどう評価し、どんな新しいエネルギーを生み出せるのか、試されているのではないだろうか。

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