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生物多様性をめぐるNGOの実態 –Web調査「いきもの意識しらべ2014」の分析結果から-

2015.06.21

東京大学大学院博士課程 藤田研二郎

生物多様性をめぐって活動するNGOとは、どのような存在なのでしょうか?どのような人たちが、どのような課題に取り組み、どのような困難を抱えているのでしょうか?私の専門とする環境社会学は、自然環境保全をめぐる市民の活動(開発への反対運動、地域の環境保全活動etc.)について、主要な研究テーマとしてきました。しかし、これまでの研究は、個別の問題に焦点を絞ったケース・スタディが中心で、全般的な環境NGOの性格や傾向といった事柄は、まだ十分に明らかにされているとはいえません。これら環境NGOについての全般的な性格・傾向を明らかにすることは、私のような研究者にとって重要なばかりでなく、NGO関係者や政策担当者にとっても、重要な基礎データとなるでしょう。本稿では、私も参加しUNDB市民ネットで行った、Web調査「いきもの意識しらべ2014」 (以下Web調査)の結果を分析し、生物多様性をめぐるNGOの実態について、迫っていきたいと思います。

今回のWeb調査は、「市民の生物多様性に関する意識と活動」を明らかにするととを目的に、2014年2~3月に実施しました。まず、2月15、16日に大阪市で開催された国際自然保護連合日本委員会主催のイベン卜「にじゅうまるCOP1」で予備調査を行いその後楽天リサーチに委託し、本調査を実施しました(調査概要は表1)。今回は、その回答者から、「NGO/NPO等で継続的な活動をしている」と答えた人たちを「NGO関係者」とし、分析対象としていきます。

表1 Web調査の概要

表1 Web調査の概要

  

 図1 NGO関係者の社会的属性

図1 NGO関係者の社会的属性(SC問8,回答数733)/全体(回答数:30,064)

  

図2 取り組むべき課題/活動中での困難

図2 取り組むべき課題(本問10,回答数:119)/活動中での困難(本問11,回答数:119)

本調査でNGO関係者は、全体の2.4%でした。これは必ずしも高くありませんが、過去のデータと見比べても妥当な割合といえるでしょう。図1は、このNGO関係者の社会的な属性です(比較のため下に全体も載せています)。まず、女性より男性の方が、少し多くなっています。次に、年齢では20代と60代が多く、30~50代は少なくなっています。これは、働き盛りで特に育児にかかわる年代は、市民活動にかける時聞が、どうしても少なくなってしまうためでしょう。また、「世界の生物多様性の劣化に強い関心があり情報を集めている」( 情報収集)、「『国連生物多様性の10年』という言葉の意味を知っている」(UNDB認知)と答えた人の割合は、NGO関係者で多くなっています。ただし、NGO関係者でも、5人に1人以下しかUNDB:を知らないとすれば、まだ普及啓発の余地はありそうです。その他、都市部(人口がトップ10の都道府県)で生活していること、「テレビの自然や動植物を特集した番組を好んで見ている」(番組視聴)といった点は、全体との大きな違いはありませんでした。この点、番組視聴を好み自然や動植物に関心があることが、そのまま活動に結びつくわけではなさそうだという結果は、非常に興味深く感じます。

続いて図2は、そのようなNGO関係者が、「自身の活動の中で、取り組むべき課題だと感じること」、「難しさを感じること」についての回答結果です。前者について、半数以上の人が答えているのは、生物多様性の普及啓発、地域の問題解決、及び調査・研究です。特に、国際的、あるいは日本政府への政策提言より、地域環境に関する2つがより高い値を示していることは、生物多様性が単に政策的文言として扱われるばかりでなく、それが実際の現場となる地域にどのように返ってくるのかという点が、多くのNGO関係者にとって関心の的である、と解釈することができるでしょう。

後者の活動の中での困難では、半数以上のNGO関係者が、資金不足と人材不足に悩んでいるようです。これらの点について、以下でもう少し詳しく分析してみましょう。

図3 最大資金源別の資金不足/運営メンバー平均年齢層別の人材不足

図3 最大資金源(本問16)別の資金不足(本問11,5,回答数:113)/
運営メンバー平均年齢層(本問14)別の人材不足(本問11,5,回答数:94)

まず、図3の上半分は、活動のための最大の資金源によって分類した、資金不足を感じるNGO関係者の割合です。これについて、会費収入や寄付を財源としているNGOと比べて、行政や民間の助成金、また会員の自費を財源としているNGOが、より資金不足を感じています。このことは、期限付きで与えられる行政・民間の助成金は、NGOにとって資金不足を解消するものでは必ずしもなく、十分な会費収入や寄付といった安定的な資金源が確保されない限り、NGOは財政的に不安定なままであり続ける、ということを表していると考えられます。

また、図3の下半分は、運営メンバーの平均年齢層によって分類した、人材不足を感じるNGO関係者の割合です。これによれば、とりわけ40~60代を運営メンバーとするNGOにおいて、人材不足がより感じられているようです。この人材不足は、イベン卜などを実施するための一時的なものというより、日常的な人材不足と考えられ、特に中高年層に多いことから、NGO内部での世代交代がなかなかうまくいっていない、ということを表しているのだと推察されます。

ここまでの結果をまとめておけば、次のようになります。第1に、NGO関係者の社会的属性について、働き盛りで育児にかかわる30~50代は、どうしてもNGO活動を続けることに難しさがあるようです。また、NGO関係者の中でも、UNDBについて知っている人は18%であったことから、生物多様性に関する普及啓発はさらに必要だといえるでしょう。
ただし、そのような普及啓発によって認知してもらえることが、人びとの活動参加にそのままつながるとはいえません。自然環境や動植物について関心があり、そのテレビ番組などを好んで見る人の割合が、NGO関係者と全体とで、ほぼ変わらなかったことから、そのような生物多様性に関する認知ばかりではない、行動のきっかけが必要となっていることがわかります。今後は、普及啓発に加えて、人びとの認知を実際の行動に移していく取り組みも、重要となってくることでしょう。

図4 UNDB市民ネットへの期待

図4 UNDB市民ネットへの期待(本問12,複数回答)

第2に、まずNGO関係者の課題についていえるのは、生物多様性の政策的文言に関する議論を、実際の現場である地域に還元していくことが必要だということです。もちろん、地域の問題は政策レベルでの議論と相互密接につながっていますが、それを現場でも見える形にするということが関係者の中では求められている、といえるでしょう。次に、NGO関係者の困難として浮かび上がったのは、助成金ばかりに依存しない安定的な資金源を確保することと、NGO内部での世代交代をいかに円滑化するかということです。これらの解決策は、個々のNGOの文脈に依存しますが、この困難が幅広くNGO一般で感じられているということは、今回のWeb調査で、得られた重要な知見でした。

以上、本稿では、Web調査の結果から、生物多様性をめぐるNGO関係者の社会的属性、活動の中での課題・困難について、分析してきました。今回の分析から得られた知見が、UNDB市民ネットや生物多様性にかかわるさまざまなNGOにとって、今後の活動を進める上での参考になればと、願ってやみません。

最後に、UNDB市民ネットでは、2015年も継続してWeb調査を実施することを、現在企画しています。その中で、私が個人的に調査課題として考えていることは、どのような人が生物多様性に関する市民活動に参加するのか、という点です。先の分析でも述べたように、2014年調査では、NGO関係者と全体との聞で、自然環境・動植物への関心に大きな違いはありませんでした。このように、関心が高いことがそのまま活動への参加に結びつくわけではなさそうだということから、実際の活動に結びつくためには、その他のさまざまな要因、きっかけが関連していると考えられます。これらについて、さらに特定していくことが、目下私の大きな問題関心です。このことは、人びとのNGO活動への参加をより促していくということばかりでなく、生物多様性にかかわる人材育成や世代交代といった点でも、非常に重要になってくるはずでしょう。どのような人が、どのようにして活動に参加することになるのか?今後も継続的な調査を通じて、解き明かしていきたいと考えています。

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